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ヴィットリオ・グリゴーロとヨナス・カウフマン比較記事 ☆ ついでにゲオルギューとカウフマン [インタビュー&記事]

 Vittorio Grigoloの記事には、同世代の若手テノール歌手ではなく、41才のJonas Kaufmannの名前がしばしば見られます。私に言わせれば、全く違ったタイプの歌手で、今のところレパートリーも違っていますし......カウフマンは15年くらい下積みとアンサンブル歌手でしたので、なんでも歌っているのですが、ドイツものを除いて、フランスものでは《カルメン》、イタリアものでは《トスカ》がカウフマン節もいいんじゃない....と認められている役ではないかと思います......ということで、今のところ、同じオペラで比較はできないですし、それこそ「人の好みは千差万別」ということつきると思います。ただ、イタリアオペラに関しては、どう転んでもイタリアオペラの伝統的声質発声とは言えないカウフマン(だからこそ長い間トップに立てなかった)には好き嫌いではなく違和感があります。カウフマンのような声というか発声は、「お団子(クヌーデル)声」と言うそうです。私には、カウフマンがイタリアオペラにこだわる理由が分りません。
 ドイツでは、最近なにかと話題豊富で、来年にはドイツの各地でコンサートを行うイタリア人テノールのグリゴーロとドイツ人のカウフマンとどうしても比べてみたくなるんでしょうね、「比較してみました.....」という記事が掲載されました。

オペラスターたち/目でも聴くってこと/2010.11.19/Lars von der Gönna
kaufmann2010.jpg
41才遅咲きのミュンヘンっ子
 無精髭、ロマッチックで大胆な言動、そして黒い巻き毛の外見は瓜二つだ。実りの時を迎えたテノール、ヨナス・カウフマンとヴィットリオ・グリゴーロは専門分野のスターとして多分対立することはないだろう。
 ミュンヘン対ローマ。ひとりはまずは数学を学んだ遅咲き。もうひとりは、システィーナ礼拝堂で早々に幸運をつかんだ。少年聖歌隊員だった。
gri_201011.jpg
33才ローマっ子
 両人の疑問の余地のないスマートなオペラ業界への登場、その歩みの確かさは、間違いなく共通性があるように見える。そうでなければ、比較することには、ほとんど意味がない。両人が上位に残るなら、彼らの声は異なる方向に向かうだろう。カウフマンはもう魔笛のような軽い役は難しいから、その恵まれた声の美しいバリトン的色彩を生かす方向、将来的にはオテロが予想される。

著しい可動性
 一方、グリゴーロの能力は「レッジェーロ」と「スピント」の間で最上のものだ。両方とも、特別な素質が必要で、それにふさわしい役がある、テノール分野である。著しい可動性、明るさ、耳障りでない輝かしさなどは、ロッシーニの理髪師のアルマヴィーヴァが考えられるし、リゴレットの公爵のようなヴェルディの役もいい。おまけに、33歳の彼の声には、トスカのカヴァラドッシで苦悩したり、ヴェルディのトロヴァトーレのあんまり楽しくないジプシー人生に転落したりするような、オペラ的男らしさの極みの役のために十分な重量感と光り輝く最高音がある。

 イタリアン・テノール(ソニー)は、グリゴーロが自らを演じてみせた信条告白音楽だ。まず、どれもオペラハウスでこんな歌手を生で聞けるのはうれしい。巨大な声ではないし、実際、オテロや、カウフマンがもうすぐ歌う予定のジークムントといった英雄的な方向へは決していかないだろうが、この歌手には十分な余裕がある。もうひとつ、例えば仮面舞踏会からのアリアでは、卓越した艶やかさと繊細の弱音を聞かせる。コヴェントガーデンからスカラ座まで、人気の的になることは疑いない。

 声に関して言えば、グリゴーロはまさしく声を贅沢に使っている。(ヴェルディの初期の海賊からの„Si de’ Corsari“という歌の終わりでも最高音をあえて出している)だが、全体的にまだなんとなくしっくりしていない。まれにしか安定していない。彼の耐久性に関しては興味津々だ。

感情のドラマ
 一方、ヨナス・カウフマンのアルバム「ヴェリズモ」は彼のCDの中でもっとも成功している。マスカーニのカヴェレリア、ジョルダーノのアンドレア・シェニエ、ボイトのメフィストフェレなどの諸役のキャラクタをよく表現している。道化師はすごい挑戦だ。危うさのあるヘルデンテノールではない彼の声で見事に支えられている。おまけに、彼の歌唱は間違いなく感動的で瞬時に心のドラマを物語る。むせび泣くようなカウフマン・マニエリズムを気にしなければ、その団子声傾向は長い間ドイツのテノールとして認められなかった無名時代に成熟させた声(カウフマンは現在41歳)の大きさと美しさと結合している。

 ほとんど音楽的なことを動機としないやり方で、両歌手を売り出すPR戦略とスタイリストに腹を立てても仕方がない。目は耳と一緒に聞いているのだし、素敵な写真になら金を払うものだ。
☆   ☆   ☆

比較:イタリア声とお団子声
容貌だけではなく声も比べてみましょう。私も並べて聞くのははじめてです。

☆   ☆   ☆

★ついでにゲオルギューとカウフマンの話題
01_Titel.jpg ドイツのオペラ雑誌"Das OPERNGLAS" のインタビューで、ゲオルギューが、「チューリヒでアンサンブルだった彼を見つけて、大劇場に推薦したのは私なのよ、私はテノールには鼻が利くのよ....カウフマンの今のキャリアは、私あってのものだわ....」という趣旨の発言をしています。チューリヒ歌劇場の《ニーナ》をDVDで見て、ヨナス・カウフマンに目をつけて、ROHの《つばめ》、それから、メトロポリタンとスカラ座の《椿姫》、《蝶々夫人》の全曲録音の相手役に選んだのもゲオルギュー。今、現在も《アドリアーナ・ルクヴルール》で共演しています。これは、劇場というよりは、ゲオルギュー主導のプロダクションですから、相手役にカウフマンを選んだのはゲオルギューに間違いないでしょう。確かに、ゲオルギューの引きがなければ、大劇場での抜擢はなかったのではないかと私も思いますし、ゲオルギューに見出されたことが、今のカウフマンのキャリアに多いに貢献していることは事実だと思います。《アドリアーナ・ルクヴルール》絡みの"The Times"のインタビューで、「ゲオルギューさんがこんなことを言ってますが....」とちょっと意地悪っぽく話題をふったんですが、カウフマンの反応が、なんとも.....もっと大人の答え方があるでしょうに。

 私は彼に、ゲオルギューは彼女こそが41歳の歌手を発見したのだと吹聴して楽しんでいますよと話した。「おやおやそうですか。彼女が私を<発見した>のは・・・2002年か2003年だったかな。でも、今まで失業したことは一度もありません」と、しかめっつらで答えた。「最初に一緒に歌ったのはロンドンでプッチーニのつばめでした。私達は、為すべきこと、つまり、聴衆のために、どうすれば火に油をそそげるかということをすぐに理解しました。何がおこっているかはわかるものです。私達は一緒にやりすぎないのようにしています。そういうことは、いつか問題になる可能性があります.....アンジェラとの共演は大好きです。......でも、美しくて、素敵で、魅力的なソプラノは大勢います」と、にやりと笑った時、冷徹な男、カウフマンが突如なごやかになったように見えた。「これこそが私の職業における贅沢です」
全文訳は、トラックバックにあります。

関連記事:
アンジェラ・ゲオルギュー 両手にアルフレード
ゲオルギューとグリゴーロ★☆Rai3のラジオ番組"La Barcaccia"
La stampa記事:Jonas Kaufmann "Cari teatri italiani se mi volete, svegliatevi"

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コメント 4

euridice

団子(Knödel)声ということば、はじめて知りました。
ちょっとこもったような感じの声を言うのでしょうか。
なんでも「団子が喉につまったような声」だそうです。
検索してたら、ヨッヘン・コワルスキー(カウンターテノールあるいは男性アルト歌手)のインタビュー記事がありました。
当人曰く「私はテナーとしては、文字通り極めて "geknödeln" です」

http://www.oakweb.ca/harmony/kowalski/kult-j.html
by euridice (2010-11-25 22:20) 

keyaki

euridiceさん
そう、まさにお団子が喉につまったような声ですよね。カウフマンの歌を聞いているとついつい咳払いしたくなります。
コワルスキーは、テノールだとお団子声になっちゃうんでアルトに転向したって言ってますね。
あら、コワルスキーもJKですね。
オペラ以外ではハスキーな声もそれはそれで魅力的だと思いますが、オペラにまでハスキーヴォイスとかお団子声が受け入れられるようになったんでしょうか......

グリゴーロとカウフマンを比較している筆者さんは、恐らく、絶対グリゴーロの声の方が好きだと思います。
by keyaki (2010-11-25 22:52) 

通りすがり

団子声という言葉があるんですね。
初めて知りました。
あのカウフマンの、喉に何かが詰まったような声がどうしても好きになれずにいたんですが、この記事を読んで納得しました。

グリゴーロには無理をしないでほしいですね。
最近の流行りのようにメジャーになったら5年でさようなら、なんてことにはなってほしくないですから。
by 通りすがり (2010-12-09 18:25) 

keyaki

通りすがりさん
このところカウフマン人気は凄いですから、好きじゃない....というのもはばかられるかんじですね。来年はボローニャ、メト、ミュンヘンと来日、本当に声だけでなくやることも変わってますね。

カウフマンのあの声というか喉が詰まったような発声は、オペラ歌手としては異質だと思います。だからこそ、地元のミュンヘンで20年近くも無視されていたんでしょう。大手レーベルの宣伝力で人気が出れば、お団子声でも美しい声ということになってしまうようです.....またピアニッシモが素晴らしい、という人もいますが、あれはポップスのクルーナー(ささやくような声)だと言う人もいます。

グリゴーロは、休むことが大切と言っていますし、新しいレパートリーを勉強するためだと思いますが、余裕のあるスケジュールを組んでいるようです。先のことは分からないと言いながらも、長くオペラを歌っていきたいと語っていますので、無理はしないと思います。願わくば無理をせずに、いろいろチャレンジして楽しませて欲しいです。
by keyaki (2010-12-10 01:19) 

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